Sexy Zone「POP×STEP!?」の感想
2011年9月29日、
静岡県の片田舎で一人の少女は叫んでいた。
「B.I.Shadowの残りの二人はどうなるの!?!?」
彼女はそこからゆずやMr.Children、アニメや声優にハマりながら成長した。
娘は思春期だった。筋金入りのジャニオタを母に持つ娘はアイドルアンチの人格を心に宿しながら高校生活を過ごした。思春期の終わりに魔法が解けたかのようにアイドルアンチは息を潜めた。
大学進学を機に上京した娘は、2010年代の終わりにハロー!プロジェクトのアイドルに惚れ込み、2010年代の終わりの年に、高校時代より胸をとらえて離さなかった村上信五さんに陥落し、ヒナちゃん可愛いねと寝言をこぼし、Jangleの入り口でハリネズミこと髙地優吾さんに沼にハメられた。まさか踏み入ったJangleで””2011年に叫んだあの二人””が待っているとも知らずに。
かくして少女は無事、母親譲りのジャニオタになったのであった。
そして2020年2月、
東京都は渋谷で21になった少女は叫んでいた。
「何やこの名盤は!?!?!?!?」
ポップミュージックをこよなく愛しながら大人の仲間入りをした、一人の人間の感想文です。感想文がまさかの10000字越えの超大作になってしまったのでその点ご容赦いただけますと幸いです。
- 1、極東DANCE
- 2、恋のモード
- 3、禁断の果実
- 4、Honey Honey
- 5、タイムトラベル
- 6、Blessed
- 6.5、ポップステップ
- 7、BLUE MOMENT
- 8、○△□
- 9、ダヴィンチ
- 10、まっすぐのススメ!
- 11、Tokyo Hipster
- 12、MELODY
- 13、One Ability
- 14、それでいいよ・序
- 14.5、それでいいよ・本題
- 15、麒麟の子
- 16、HIKARI
- 1、Show must go on 佐藤勝利くんソロ
- 2、SHE IS…LOVE 中島健人くんソロ
- 3、HAPPY END 菊池風磨くんソロ
- 4、all this time マリウス葉くんソロ
- 総評
1、極東DANCE
イントロがいい曲はもうそれだけで名曲なんや。って死んだばっちゃが言ってた。(言ってない)海の向こう側から見た「NIPPON」と日本の音楽のど真ん中「渋谷」から見た「日本」が混ざるとこうなるんだなと思った。
キャッチーでポップでスタイリッシュなのにカオスだ。なんでもありだが大前提として””秩序””があるポップミュージックだ。めっちゃ「トーキョー」じゃん!!!めっちゃかっこいいのよニンジャとキツネのお面とハラジュクのゆめかわユニコーンが混ざってる。
え、セクゾって「Sexy…」って言ってる人たちじゃないの!?と度肝を抜かれるだろう。抜かれた。音楽性が高すぎる高須クリニック。
2、恋のモード
ハイイントロかわいい。Sexy Zoneは女性アイドルなんか?それか朝の女児向けアニメの曲や。1、2、3、から始まったらそれはミュールの爪先をつんつんする動きなんよ。傘を片手につんつんつんや。多分小野大輔あたりが歌うよ。おのくんかわいい。いやあんたらが無敵さ~~~~~~♪プリキュアやないかい。アイカツ!かもしれん。プリリズかもしれん。アンドゥトロワ!?それはさすがにダニエル。(キティちゃんのボーイフレンド)
女児の心が騒ぐよ、どこまでも。
これをあんなかっこいいおにいさんたちが歌ってると思うと初恋を奪われた気分になるね。落ちサビのアコギ、ずるくない?あ、ベースもずるかった。
3、禁断の果実
いちいちイントロが優勝を決めてくるのなんなん。昭和歌謡か!?!?俺は昭和歌謡には滅法弱いんだッッッッッア~~~~~~~(天を仰ぐ)おい全人類聞いたかこのエレキギターを!!!だからブラスが仕事をするな~~~~!!!惚れてまうやろ!!!もう惚れてる!!!
Aメロのバッキングが天才だから地球上の哺乳類はみんな聞こうね。Bメロのバッキングは天才超して禁断の果実だから地球上の生命体はみんな聞こうね。ちなみにここ書くまでにこの曲を三周しています。
Sexy Zoneてこんなに昭和歌謡系ポップと相性がいいんか?それはさすがにアイドル力エグすぎ君やなオイ。アイドル力エグすぎの四乗やないかい。好きやん。五乗になるの、待ってるね。
ジゴロジゴロ。
三曲聴いて思ったんだが、このグループに歌が苦手な方はいらっしゃらないんですね、さすが。聞き心地が良いから何回だって聴いちまうのよ。こっちは。
4、Honey Honey
オオンこの声がどなたか存じ上げないのが申し訳ないがあなたがスタートは正解すぎる!!!ケンティーかな?あなたのこの音域が可愛い大賞2020。かっかわええええええええ!!!!カワEこしてカワFやん。こりゃハニーハニーですわ。
「Baby」はマリウスくんかな!?さりげなさと甘さの塩梅が3150。
恋のモードが女児向けアニメなら、こちらはEテレですね。「天てれにはその昔、MTKというコーナーがあってな、ばっちゃはそれを聴いて育ったんじゃ。」って感じですね。ジーナとかメロディーとか歌ってるっしょ。世代がバレる。でも全編英詞でカーリーレイジェプセンが歌ってても違和感ないと思う。
それを成人男性が歌ってもいいんだって説得力を持って伝えてくれるのはドルオタうれしい。
Sexyブラスとの相性がいいZone。
5、タイムトラベル
待てい!!!!!イントロが深夜の高速ドライブや!!!!!俺にはオレンジの街灯が見えている。オレンジの一筋の光になって一瞬で俺を通り越していくんだ。隣のパートナーがいつもより輝いて見える。恋か?
エッッッッサビ全部裏声!?!?正気か!?!?ライブでやったら喉つぶれっぞ!?!?
1990年代後半産まれは胎教がR&Bなんや。こんなん好きに決まっとるやろ!!!知らんけど。
そうか、あんなに小さかったセクゾちゃんが同窓会がテーマの歌をうたうようになったんだ。私が押し出されるように大人になったように、彼らも等しく年月を重ねて大人になったんだ。思わずハッとした。知らない間に私の手元にも普通自動車免許があって、ひとり深夜に高速を走らせることもできるようになったんだな、と思わず感傷に浸ってしまった。
以前、Perfumeのインタビューで年下の男の子との恋の歌を中田ヤスタカさんが作るようになって、自分たちの年齢や立場を改めて感じた、といったものを読んだことがあって、それを感じた。世代に似合う音楽って、いいね、すてきね。
成人式の時、5年ぶりに会った初恋の君は相変わらずかっこよかったです!!!!!!ありがとうございました!!!すてきでございました!!!!!あなたの幸せを勝手に祈っています!!!
6、Blessed
弦のイントロだ!タイムトラベルから夜のターンになったね。さっきまでこれでもかと散りばめられていた音が限りなく削ぎ落とされて、歌詞がスッと入ってきました。セクゾの皆さんの歌声がきちんと楽器として機能しているのが気持ちがいい。
「世界は僕らを待ってはいないだろう」
アイドルが歌うにはあまりにも衝撃的な歌詞で思わず巻き戻して二度聞きした。
待っとるがな。あんたらのことを。少なからず私は。
これ中学生の私が聴いたら救われるだろうなあ。人間、生きていれば「世界は僕らを待ってはいないだろう」的なこと誰しも思うし、それをどうにか越えて今生きている。この歌はそんな自分たちを肯定してくれているんだよな。「世界は僕らを待ってはいないだろう」の答えが「それならもう少し眠らずにいようか」って。こんなにやさしい返答がこの世に存在すると思わなかった。普通なら「それでもおやすみ。明日の僕が君を待ってる」的なこと言いますよ。救われたいのは「真面目に生きてきたけど何処か空っぽ」な、今、眠れない自分なのにな。
「(前略)でしょう そうでしょう?」って、一番も二番もこの部分の歌詞見たらハテナマークついてて今世紀最大の驚きを感じた。セクゾちゃんにも眠れぬ夜があったんだな、と思わせるだけの説得力のある「?」だな。ここの歌い方に私は救いを求める彼らの姿を見たよ。こんな自分たちにも最後には笑えたり、怖いものがないと思える朝が来ると思えるような。そんな朝を祈るような。
余談ですが、私は二週間くらいこれを聞きながら寝てました。
6.5、ポップステップ
冗談混じりで書いていますが、ここでなんとなくアルバムの方向性が見えてきました。
正真正銘の「ポップステップ」だ。
ただのポップミュージックを表現しようとしているんじゃない。一段上の、あるいは一歩先の、もしくは一つ横へ踏み出したポップミュージックだ。だから「ステップ」なんだ。アイドルとして、ボーカリストとして、表現者として。日本のポップスを世に放つ職務を持つ集団の作品として「一つ先のポップス」を本気で生み出してくれている。私はそれがうれしかった。その気概とそれに応えるだけの実力があることがうれしかった。そして、どこから目線だと自分でも思いながらだが、名盤であることを確信した。
7、BLUE MOMENT
刀ミュのお手振り曲だ~~~!!!!(違います)第一印象はそれ。
ブルーモーメントという名の通り、夕方に聞くとしみる曲ですね。部活帰りの、淡い黄昏の色彩に染まった世界と、仲間たちのバカ笑いと鼻歌の合唱が響く線路沿いの道と、線路の石とすすきの匂いを思いだした。でも現実の私はサンシャインシティと東池袋駅の間の地下通路を歩いていて、あれっと不思議な感覚に陥ったのをいまでもよく憶えている。
王道のJ-POPがここに来て満を辞して登場するという、安心感とチームの強さ。それを同時に感じた。
「ポップミュージックは明るいメロディに乗せてかなしいことを歌うんだよ」と私の大好きなソングライターが言っていた。この曲は真っ向から私の大好きなポップミュージックでいてくれている。それだけでうれしかった。自分の在りし日の思い出とリンクしたのもうれしかった。この曲を聴くだけでいつでもあの線路沿いの道に戻れる。心のふるさとがある。うれしいね。あったかいね。憂いを歌えるのもセクゾちゃんの強みだね。
「日本の歌はどんなものであってもノスタルジアといった感情を呼び起こす」という記事を読んだことがある。ちゃんと郷愁の情を歌えるのは本当に強いね。
8、○△□
急に明るいのにかえるやん!!おばちゃんびっくりしてもーたわ。おおこれはアイマスだ!!!ミリオンだな。765プロが歌ってる。
Sexyやっぱりブラスとの相性がいいZone。
ちゃんとアイドルなんだよな、Sexy Zone。ポップスとアイドルらしさがきちんと共存している様式美はいつの時代も気持ちがいいね。ここにSexy Zoneらしさが放り込まれているとここから後の曲を聴くと気づく。
「みんな違うからいい それだけは忘れるなよ/無限に広がる可能性を 秘めてることも」
きた!!!!!多様性とその全肯定!!!
これである。
「多様性と全肯定」をしている男性アイドルを浅学ではあるが、私は彼らの他に知らない。サビの歌詞とメロディとをぜひ聴いてみてほしい。「多様性と全肯定」をこんなにわかりやすく、そしてキャッチーに歌えるの、かっこいいなあ。ここら辺のイズムはハロプロに教わりました。あとストリングスがジェットコースターみたいで可愛い。
9、ダヴィンチ
急に唸り吠えるやんエレキィィィィィィィイイイ!!!俺だ!!!ロックだーーーーー!!!(ロックで合ってるかは知らん)
ただ、私はロックも好きなので多分これはロックです。ここでビート急に刻まれると血が騒ぐやんけ。そしてめっちゃ社会派の歌詞ね。ロックやん。私がこのライブに行ったらこの曲が流れた瞬間にペンラとうちわと双眼鏡を放棄する。己の拳で闘う。(闘う?)めっちゃアンジュルムに歌ってほしくて俺は今泣いている。
おそらく風磨くんの声だと思うんですが、ユニゾンになると彼の声がいい泣きを誘いますね、ロックだと特に。
「偉大なる先人達が苦笑いをしているからせめて俺達は芸術をしよう」めっちゃシビれた。
idol(偶像)が芸術をしようって吠えてるのめっちゃ滾る。ロックやん。あんたらも芸術品みたいなもんやろって外野だから思ってしまうけれど、「外野なんて気にせずに行こう」って歌ってくれてるし、私のことなど気にせずたくさん芸術をしてほしい。きみたちの描く世界を私は楽しみに待っています。
「モナリザとツーショでも撮ろうか」が最高すぎて時代遅れのヤンキー人格の私は腕に彫った。さっきまで横ノリだったから縦ノリ気持ち良すぎて若干恍惚としてる。
10、まっすぐのススメ!
曲名可愛い~~~!!!!可愛いでできています。カントリー・ガールズに歌ってほしくて泣いてる。酒のせいですぐ涙ちょちょぎれてまうねん。このアルバム随一のスルメ曲ではないかと思うこの曲。合いの手のブラスが可愛い。
歌詞が可愛いことは今更言及するほどのものでもないんだけど改めて書き出すね。
・はいっ!・ウサギさんマインド・どうか神様 ねえ仏様 に頼ってる場合じゃない!・チキンライスハート・天まで届いちゃう
カワF越してカワZやんけ。
腐れ縁で幼馴染みのやつにこんな可愛い心どころか、恋心すら抱いたことないけど落ちサビどきっとした。(勝手にセクゾちゃんを幼馴染みにすな)ポポロたん、後生だから「花束持ってひざまずき差し出して見上げ」るセクゾちゃん撮影してくれ~~~(五体投地)
冷静に考えてこれ成人男性が歌ってるんですよね…?アイドルって本当に不思議な職業だな…。この世界を違和感なく、主成分可愛いで仕上げるチカラ…。これがアイドル力(あいどるぢから)…。本当にこの主人公にはまっすぐ進んでほしいし、まっすぐを推奨しているし、曲名最高すぎ…。
11、Tokyo Hipster
格式が殴ってきた!!赤い絨毯のようなストリングスで思わず「うわあああ」って声出たよね。日比谷かよ。って思ったのに第一声「渋谷」だったからずっこけた。渋谷にこんな重厚で絢爛な場所なんてない。わしゃ知らんぞ!!この曲は、私のヘビロテ曲であり、スルメ曲でもあります。田舎者故「Tokyo」が題についているとどうしても東京駅の駅舎を思い浮かべてしまうんだワ…。だからイントロの段階で、頭の中で、赤い絨毯・煉瓦の建物・石造りの階段がもう出来あがっちまうんだワ…。
そこにまさかの「渋谷はまだ谷底で銀座はまだ海だった」江戸もびっくりだわ。
しかも続く歌詞が「大切なのは Sun, Sun, Sunshine 太陽!」太陽!?!?(千鳥)
からのダメ押しの「大切なのは 愛 KIMI キミ だろう」そりゃハロプロやないかい(ミルクボーイ)
歌詞があまりにもハロプロで目ん玉ひん剥いた。三浦徳子さんだった!!!!!!!!!!!!!!!!そりゃハロやわ!!!!!!!!ハロだし軽快で最高なトンチキだし、やはり、人類皆三浦徳子さん…。本当は制作陣の名前は出したくなかったんだ!どうしてもそこに色眼鏡が入ってしまうし、私は初聴きした時に一回調べてどうにか記憶の海に泳がせて今これを書いているんだけどこれだけはあまりにも、あまりにも、、、で、、、。俺は自分との勝負に負けたんだ…。
Q.まだAメロにもたどりついてないんですが、大丈夫でしょうか。
A.結局は「愛」なので大丈夫です。
何年か前にセクゾちゃんと娘。ちゃんがLOVEマシーンやってましたけど、セクゾちゃんあまりにもハロなんだもんグスングスン。おじいちゃん、手元で大切に、愛を知り愛を伝える者を育ててたんだね…。BIG LOVEだょ…。ヒロム、Forever…。らびゅ~!!
どんな時代を生きても、笑っていても泣いていても。
そこが谷底でも、東京でも、洞窟でも、宇宙でも。
大切なのは君、大切なのは愛。
ここがブレない彼らが、私は大好きです。
浅学故、Hipsterという単語を初めて知りました。
通(つう)。新しがり屋。流行の最先端を行く人。
最後の地球人。目にしている星はもうそこにはない。それぐらい一瞬の中で生きているしそれくらい端っこで生きている。彼らはそして私たちは、トーキョーという最先端(最も先の端っこ)で流れ行く風を感じているんですね。
12、MELODY
先程制作陣の名前を出さない縛りを課しておいてなんなんですが、私はこの歌のためにこのアルバムを借りました。tofubeatsさん。私はゆずの大ファンです。彼らのクレジットに載った方に対する記憶力は相当なものだと自負しています。ゆずのかけるという曲に関わってくれた彼のサウンド。彼とゆずとが引き起こした化学変化が大好きで、彼の歌をうたうSexy Zoneがtofubeatsとどう化学変化を起こしているのか気になり、このアルバムを手に取ったのです。
期待以上だった。期待しているものがエベレストなら、実物はISSだった。
最初の「ジャージャッ、ジャー」だけで勝ちを確信した。「一緒に歌ってみよう」が加工された音だと誰が想像した!?天才か!?天才だったわ。(ここから全編加工だがそんなこと彼女はまだ知る由もない)
一つ向こう側、なにかを隔てて届く彼らのことばとMELODYはあたたかかった。加工でも映える声してんだねセクゾちゃん。加工することで逆に歌詞ひとつひとつが大切に包まれて届いているように感じる。歌詞を見ると、まるで手紙のように、かんたんなことばでの歌詞は綴られている。加工することによって存在感が増して、世界観が統一されて。
そうやって届いた歌を私はさっき風呂場でも歌っていました。
13、One Ability
世界観が継続されている。イマドキの曲や~!!イマドキのポップスや!!!とテンションが上がりました。だってさっきまで昭和歌謡系ポップス歌ってた人やで?振り幅がえげつないくらい広いから聞き手として本当に楽しく聴ける。そんでサウンドがめっちゃ甘いのにフラれてるじゃんこの人。
普段聴くジャンルが狭いのバレる覚悟で言いますけど、めっちゃ洋楽みたいなのにめっちゃ邦楽じゃない?バックの音楽は横ノリなのに、メロディの節回しめっちゃ聴き馴染み良くない?昔から聞いてたっけ。そんなわけない新曲だもん。ってなる不思議。
ところでなんでこの曲題名が「ひとつの才能」なんだろう。愛する事しか出来ないからですね、すみません歌詞に書いてありました。自分が持っている才能や能力が「愛する事しか出来ない」ってめっちゃアイドルスキルじゃない?それを未練タラタラの男として仕立て上げるって、発想の転換がすごい。
雨だれのようなサウンドがそ灰色の空から降ってくるようで、とても好き。MELODYも無機質で打ちっぱなしコンクリートと抜ける空、って感じだったからいつも2曲セットで聞いてしまう。
14、それでいいよ・序
初聞きした時、MELODYとOne Abilityで最先端ポップミュージックや、って思った。普段ゆずとミスチルと流行っている曲を聴いて過ごす人間なので若干ヘロヘロになった。難しい音楽だッッッって頭パンクしかけた。音楽を頭で聴くからそうなるんや、心で感じろ。
そんな時に降ってきた曲。だから構成がうますぎるんじゃあ。王道JPOPバラードの登場です。
タイムトラベル-Blessedの時もそうだったけど、普段流行歌しか聞かない人間に優しい構成になっているの、本当に巧みだなと唸ってしまった。少し難しいことすると「はい。」って王道を手渡してくれる。優しい。そして声を大にして言いたいんだけど「絶対アタマからケツまで丸聞きさせてやる」って声がCDから聞こえた。そんな経験実は生まれて初めてで、本当にびっくりした。気概と覚悟がすごい。コンセプトアルバムをアタマからケツまで飛ばさずに聴くのって、実は私あまり得意ではなくて、よっぽど好きなアーティストじゃないと自分はやらないってかできないから、ここで「わかったわかったちゃんとゴールまで楽しく聴くよ」って返事した。その時点でとんでもない名盤だなってまた思ったけど。飽きずに聴けるのってすごいんだよ。飽きずに聴かせるのってすごいんだよ。ってどうにかして伝えたいけど伝える手段もないし、こうしてパソコンに向かって叩くことしかできない。これをみた人がいるなら聞いてくれこのアルバムを。
14.5、それでいいよ・本題
○△□の時にもチラッと「多様性と全肯定」がSexy Zoneの強みだって話題に出したけど、これはもうモロにそれ。曲名が「それでいいよ」だもん。モロ出しや。
ミディアムテンポのバラードって無意識に「あ、歌詞聞こう」って思うようにセットアップされてるからちゃんと歌詞を聞きました。というかここに来るまでバラードなかったんだねこのアルバム。それにも驚いた。ポップミュージックって多彩だな~!!そのどんなものにも対応できてきちんと「Sexy Zone」というブランドにパッケージできるSexy Zoneスッゲーな。
初めてこの曲を聞いたのは地下鉄の車内なんですけど、思わず目頭が熱くなったのをよく憶えています。弱ってる時に「大丈夫だよ」と声をかけてくれる音楽にいつも寄り添ってもらって生きてきた。でもこの曲ってそれの一歩先なんだなって思った。ものすごいしなやかで強い肯定じゃない?あとこの曲の僕、共感力が高い。「傷つかぬ為のニセモノなら勇敢なホンモノが美しい」って持論を伝えた後に「本当は僕も不安で孤独な夜もある」ってこぼすんですよ。頭抱えたわ。私も側にいるよ~!!って伝えたくなっちゃうじゃん。伝えた。これをさ~セクラバさんは自分が大好きな方に歌われるわけでしょ?初めて聞いた時どう思いました?って全宇宙のセクラバさんに聞いて回りたい。泣いたでしょ。私も泣いた。最後の砦にこの曲を持っている人間、強いぞこれから。こんにちは、どうも、最強です。
15、麒麟の子
知ってる曲やーーーーー!!!!!!!
こんなアルバムの終わり頃に強い曲を持ってくるって最強かよ~~~~!!!!!
何回聴いても聞き飽きんなこの曲は。テレビで何回も聞きましたが、改めて手元にあるとうれしいね。せっかくなのでアルバムというパッケージの中のこの曲の立ち位置について考えてみる。なんとなく外野から見ていて麒麟の子と極東DANCEがこのアルバムの表題曲なのかなと思っているんだが、こんだけ多彩なポップミュージックアルバムでコンセプトがブレないの、この2曲がとっても強い核を持っていたからなんだな~!!って理解した。サウンドも歌詞の世界観も似てるよね。意図的なのかな。コンセプトアルバムっておもしれぇぇぇぇ!!!!!
「勇気ある はみ出し者よ 躊躇なく我が道を行け」がテーマなのかな。
だから裏テーマがそんな「はみ出し者(多様性)の肯定」なのかな。
そんなこと思っている時にセクゾちゃんがポニキャンからユニバーサルに移籍するってニュースを知った。ポニキャンからの最大の応援じゃん。エモ。
16、HIKARI
あ、アイドルだった。アイドル~~~~~~!!!!!
この2曲のたたみかけでこのアルバムの終わりを悟って寂しくなった。もう終わっちまうのかい…。名は体を表すとはよく言ったもので、本当に光だなこの曲は。キラキラが空から降ってくるよ。
何度も繰り返されるので否応なしに耳に飛び込んでくることばが「僕にとっての光 それは君だ」でアイドルのアルバムだったと思い出した。そうだった、Sexy Zoneってアイドルじゃん。結構マジで忘れてた。アイドルとファンとのエネルギーの交換、愛の交換を音楽にするとこういう曲になるんだなって勉強になった。
「Ready to go」でアウトロなしでアルバム終わるのかっこよすぎかよ。
1、Show must go on 佐藤勝利くんソロ
ここからDisc2。ソロ一発目が「Show must go on」て曲名なの重すぎてびっくりした。おじいちゃんのびっくり隠し球しょりたん、という認識で生きてきたので…。曲名重すぎて聴くのずっと躊躇ってたよごめんね。こんな小粋な音楽の曲だと思わんかったすまん。あとソロ曲のおかげでみんなの歌声がわかるのまじで初心者に優しい。Sexy誰もおいていかないZone。勝利くんの歌声、フラットで聞いたときの手触りが良くて聞いていて安心するね。
歌詞、思わず泣いちまった。魚のように踊ってたって歌詞で死んだ魚の目っていうワードを勝手に連想した。そんな主人公が自分の意思で「新しい靴、これで進んでいこう」って言うんだぜ?泣いちまうよこんなん。しかも1番2番で「夢を頂戴」って人の夢をご飯にして生きてたのにラスサビは「夢をあげます」って言ってんだよこの子…。玉ねぎのせいにして今は泣かせてもらいます。
落ちサビ前「後は君が溺れてしまうだけ」でガナりが入るの佐藤大天才大勝利さんすぎ。死んだ目のお人形さん(という設定でこの物語は進んでいます)だったのにここでめっちゃ強い意思が瞳に宿るんだよね、めっちゃドラマティック。
2、SHE IS…LOVE 中島健人くんソロ
誰やケンティーに「SHE IS…La La La La La LOVE」って歌わせたん!!!!!って思ったらケンティーご本人で頭抱えた。ケンティー作詞作曲できるんかい。あんた何ができないんだよ。天才?天才だったか~~~!!!後アレンジの方ありがとう~~~!!!!こういうサウンド大好き!!!ケンティー、歌声こんなに可愛いと思わなくて結構驚いた。声のツヤがすごくクセになる。すごく好きです。感想を書こうと思って聴き始めるんですけど、聴き心地ええなあって思ってると知らん間に一曲終わってんだよね。何のマジック?めっちゃ好きが天元突破すると曲が一瞬で終わるということを中島健人さんに教えてもらいました。
なんでこんなに響きが切ないんでしょうか。これがケンティーマジックなんでしょうか。別離を歌った歌というわけでもないのに。これが恋慕の情、恋い焦がれる、という音なのでしょうか。だとしたら私に音という媒体で恋を教えてくれたのも中島健人さんということになります。どちらかというとHE IS…LOVEなのですが、ここら辺、中島健人さんはどう思っているんでしょうか。
3、HAPPY END 菊池風磨くんソロ
逆!!!(本人談)曲までシンメなんかこの人らは!!!シンメ厨ワイを丁寧に殺しよった。
風磨くんこういう曲ホンマに映えるなあオイ。風磨くんってフラれてしこたま酒飲んでる昔馴染みが似合いすぎると思っているのは私だけでしょうか。FMで流れる洋楽(概念)または小さい頃車で寝ちゃってそんな時におかあさんが小さい音で流していた洋楽(概念)だ。こういうのをR&Bっていうって最近知りました。何がハッピーエンドやねん!失恋やん!!って思いながら風磨のバカ~って聞いていたんですが「幸せな時間の終わり」って意味だったんすかね。ことばあそびが上手え。好きやんこんなん。
私、ろくーん生まれゆず育ちなのですが、女性コーラスが入るジャニ曲、KAT-TUNのAFFECTION~もう戻れない~以来でテンションが上がりました。あと風磨くんピアノが映える声質してると思わなくてびっくりした。歌声も菊池風磨してて裏切らない男だと思いました。
4、all this time マリウス葉くんソロ
きた今回の優勝曲。ってイントロで確信した。英語聞いただけで分かる人類として生きていたかった。レンタルでCDを借りたから音源だけ手元に残って和訳が手元にないんです。今世紀最大のやらかし。自分で訳して自分で解釈しました。そこだけご理解頂けますと幸いです。
大人でも子どもでもない今だからこそ歌える歌。私はマリウスくんの一つ上の学年なので、同じタイム感でこの曲を聞けてうれしい。あの頃を懐かしみながらも、大人になったら分かるのかなあとこぼせる歌。古いアルバムをめくりながら口ずさむマリウスくんが目に浮かびます。(それは涙そうそう)ポプステのライブ当日に二十歳になるマリウスくんがこの歌を歌う姿を私も見てみたかった。小さな苦笑いのような微笑みを浮かべながら歌う姿を。
優しいエレキギターの音が昔の映画のようであったかい。静岡の片田舎に帰る夕方発の高速バスでこの曲を聴いて、隣に人がいなかったからゆっくり思う存分涙を流しました。家族にタオルケットをかけてもらいながら身体をとんとん叩いてお昼寝をしていたあの頃が不意に蘇ってきて。そういう、人が愛と呼ぶあったかさが、歌声とバックのギターに溢れていて、この歌でPOP×STEP!?が締めくくられるのがすごいと思った。稀代の名盤だ。
総評
セクシーとは、なんだろう。色気とは、なんだろう。
私個人としては、色気とは余裕だと思っていて、余裕とはつまり「多様性を認められる寛容さ」だと定義して日々生きている。麒麟の子の箇所でも言及したが「勇気ある はみ出し者よ 躊躇なく我が道を行け」がテーマで裏テーマがそんな「はみ出し者(多様性)の肯定」だとしたら、まさしくこの「POP×STEP!?」の彼らはSexyだと思った。
これから、あんなに小さかったSexy Zoneも、松島聡くんを含め全員が日本での成人を迎え、否応なしに大人として扱われる。アイドルの高みへ、ポップス(大衆歌)のその先へ、踏み出すのにこんなに相応しい宝物のような名盤を抱えて歩いていく彼らの未来が楽しみだ。
このアルバムをレンタルしたのはまだ2月の半ばであったと記憶している。世界はそこから良くも悪くも大きく動き出してしまった。このアルバムと一緒に歩く東京の街はとても楽しく、私が幼い頃から憧れていた夢の街「トーキョー」を思いださせてくれた。スーパーとの往復や家事を行う時のBGMとして、今は生活に寄り添うポップミュージックの仲間入りを果たした。どこで聴いても耳馴染みが良く、かつ時折この音拾ったことなかった!という音を耳がキャッチすることもあり、まだまだこのアルバムとの旅は終わりそうにない。
また渋谷のど真ん中でこのアルバムを流しながら歩くその時を楽しみに、筆を置く。